大末建設 × チェコパビリオン
短期間での高難度建築に挑んだ、
“らせんのパビリオン”。
1970年の大阪万博にも参加した、大末建設。
大阪・関西万博でも再び国際的なプロジェクトに
携わる機会を得ました。
今回、私たちが手がけたのは、
チェコ共和国のパビリオン。
独創的な設計と短い工期、700kg超の特注ガラス、
そしてチェコ産のCLTパネル ──
前例のない条件が重なる中、
チェコと日本、両国の職人たちと協力し、
約半年で完成にこぎつけました。
この挑戦の背景にあるのは、
建築の可能性を広げたいという想い。
文化・技術の交流が形となったこの建築は、
国際協働によるものづくりの可能性を
あらためて示すものとなりました。



チェコパビリオンとは
「人生のための才能と創造性」
2025年大阪・関西万博に出展する
チェコパビリオンは、
伝統技術と最先端技術が
融合した「体験型建築」です。
らせん状の回廊を歩きながら、
チェコの文化、芸術、創造性を
五感で感じる構成。
訪れる人々に、“内面のバイタリティ”を
呼び覚ますような
空間が設計されています。
建築の特徴
芸術と構造が一体化した、圧倒的な建築体験。

FEATURES 1
ボヘミアンガラスの
らせん回廊(全長約250m)
チェコ伝統のボヘミアンガラスを用いた
壮麗なファサード。

FEATURES 2
CLT構造(高さ約17m)
⽊造建築としては⽇本最大級の規模。
⾼さ約1 7mの⽴体構造が
会場内でも圧倒的な存在感を放っています。

FEATURES 3
多彩な機能空間
展示スペース、レストラン、
多目的ホールまで備え、
建築全体が「舞台」となります。

FEATURES 4
屋上展望スペース
大阪湾と水上ショーを望むパノラマ空間。
チェコビール片手に過ごす夕暮れは、
来場者の記憶に残る体験となるはずです。
施工の舞台裏
半年で完成 ──
高難度建築に挑んだ、施工者の矜持。
チェコで加工されたCLTパネルと
ボヘミアンガラスは、すべて船で日本へ。
現場では、A2TimberとWIEDENから
派遣された職人が日本の職人と共同で作業。
1枚700kgのガラスを慎重に設置しながら、
全220枚のガラスファサードを
完成させました。
言語の壁、設計図のすり合わせ、
日本の建築基準への適合など、
乗り越えるべき課題は多くありました。
それでも、チェコ側の高い技術力と、
現場での綿密な調整・協力により、
プロジェクトは着実に前へ進みました。
COMMENTS
55年ぶりとなる大阪・関西万博でチェコパビリオンの工事を担当することができ非常に光栄に思います。約8か月の限られた工事期間でこの複雑な形状の建物を施工するにあたっては、想定以上の困難が数多くありました。当社では初めての大規模木造建築物でチェコの協力会社との協業やチェコ共和国関係者との打合せなど学べたことも多くあり、関係者全員が懸命に尽力し建物を完成させることができました。このパビリオンはらせん状の木造建築物で外観はチェコ産のボヘミアンガラスやCLT、地上部や屋上テラスの床には日本産の無垢杉材を使用し、建物自体がアート作品といえる素晴らしいデザインの美しい建物です。多くの方に来館して頂きこの建物を体感して欲しいと思います。

SPECIAL MOVIE

今後の展望
戦略的パートナーとして。
チェコの品質や加工技術の高さに加え、
当社の施工技術を象徴する建築である
チェコパビリオンを、
万博を訪れる多くの方に知っていただくため、
チェコ側と戦略的パートナーシップ契約を締結しました。
その一環として、パビリオン内の多目的ホールには
「大末ホール」という名称が付けられています。
また今後は、チェコ製CLTの魅力を広く伝えるべく、
チェコとともに日本国内での
普及活動にも取り組んでいきます。

COMMENTS
日本で最大の木造建築であり、鉄骨構造を使用していない建物として、2025年大阪・関西万博のチェコパビリオンは、卓越した建築的偉業を誇ります。しかし、それは単なる建物ではありません。伝統と革新が出会い、芸術が息づく場所でもあります。
「人生のための才能と創造性」というテーマのもと、チェコの古典から現代に至る芸術の世界を巡る旅が展開されます。その背景には、アルフォンス・ミュシャの哲学が息づいています。文化的拠点として、パビリオンでは30以上の多彩なプロジェクトにおいて、200名を超えるアーティストが参加します。著名なチェコ・フィルハーモニー管弦楽団による演奏から、ジャンルを超えた革新的なコラボレーションまで、多様な芸術体験が用意されています。
来場者は、チェコの本格的な料理、世界的に有名なピルスナー・ウルケルビール、そして屋上テラスからの大阪湾の絶景もお楽しみいただけます。
特に誇りに思っているのは、このパビリオンを実現するにあたっての、チェコと日本の素晴らしい協働です。チェコの職人や専門家たちが、大末建設の熟練したチームとともに一つの目標に向かって力を合わせるという、他に類を見ない貴重な機会となりました。私たちは、単なるパビリオンではなく、相互の尊敬、緻密なものづくり、そして共通の情熱を土台としたパートナーシップを築き上げました。この経験は、両国の間に永続的な絆を生み出すものとなるでしょう。
チェコ共和国様と素晴らしい御縁をいただき、大阪・関西万博でチェコ共和国ナショナルパビリオンの建設工事を担えたことは、我々にとって大きな喜びであり、誇りであります。
螺旋状の大型木造建築で、ボヘミアンガラスに覆われた大変複雑で難易度の高い建物を非常に短い工期で創り上げることは大きなチャレンジでありましたが、物づくりの楽しさとやりがいを感じ取り組んでまいりました。そして何より当社の歴史に残る輝かしい仕事となりました。
今回チェコから職人を招き、日本と協同で工事を進めました。チェコの木材、ガラスなどの材料は、その美しさに加え、強度、精度など高品質で、チェコの持つ施工力と技術力も素晴らしいものでした。チェコの皆様と日本の我々が、互いに心より信頼し、協力をして、両国の技術を結集して取り組むことができたからこそ、パビリオンを完成させることができたと思います。
是非とも、多くの方に御来館いただき、この美しい建物を見てチェコパビリオンの素晴らしさを体感していただきたいと願っております。
今後もチェコ共和国と大末建設の関係をより深め、互いに協力して、建設に留まらず幅広い分野で有意義な取組みができるものと期待しています。
チェコ共和国の皆様をはじめ、プロジェクト関係者の皆様には多大なる御尽力と御協力を賜りましたこと、お礼申し上げます。ありがとうございました。
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大末建設について
私たち大末建設は、住宅から都市再開発、
そして国際プロジェクトまで
幅広く手がける建設会社です
国際建築・木造建築・文化施設に関するご相談など、
お気軽にご連絡ください。
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2025年大阪・関西万博
チェコ共和国パビリオン館長
寒河江 明子 氏
チェコパビリオンは、見逃すことのできない建築のランドマークです。外壁はすべてボヘミアンガラスで作られており、日中の光の変化によって展示空間や内装の美しさがさまざまな表情を見せてくれます。一度として同じ体験はなく、訪れるたびに新たな魅力を感じていただけるでしょう。
建物本体は、チェコ産の木材と革新的なCLT(直交集成板)パネルを用いて建設されており、環境に配慮した持続可能な構造となっています。そのうえで、日本の法的要件や構造安全性をすべて満たすことは、決して容易なことではありませんでした。
かつては紙の上のアイデアであり、私たちチーム全体が追い続けた夢にすぎなかったこのチェコパビリオンが、ついに現実のものとなりました。その実現には、大末建設のご尽力が不可欠でした。この夢を形にしてくださったことに、心より感謝申し上げるとともに、深い敬意を表します。